生きる姿勢の「ベスト・マニュアル」

ウィリアム・ジェイムズの本を読んでいたら、実に見事な「マニュアル」が述べられていた。

私自身、このマニュアルに従って生きていけばよいと確信できるほど、素晴らしいマニュアルなので、みなさんにも紹介します。

原文から重要な箇所をひろって引用します。(Talks To Teachers On Psychology)

The best manuals of religious devotion… 
The maxim : Let our feelings go, and pay no regard to them whatever.
Let your emotions come or let them go, just as God pleases, and make no account of them either way.... They really have nothing to do with the matter. They are not the indicators of your spiritual state, but are merely the indicators of your temperament or of your present physical condition.

(意訳します。)

宗教的な修養でのベスト・マニュアルの金言はこれだ。

「感情は放っておけ。全く気にするな。」

「神の御心のまま、感情が、やって来るなら来るにまかせ、去るなら去るにまかせよ。

来るのも去るのも全く気にかけるな。

それらは、本当に大事なこととは、全く関係ないことなのだ。

感情は、精神的(霊的)状態の指標ではなくて、単に、その時点での気分・気質とか身体の状況を示しているにすぎない。」

何と素晴らしい金言だろう!
まさにこの通りだ。

ジェイムズは、「宗教関係の多くの本で、このことは述べられている」と書いているし、珍しい言葉でもない。
もちろん仏教や禅の本でも、同様のことが語られている。

だが、仏教や禅には、ともすると盲点があり、感情などが来たり去ったりするのを、「ありのままに見る(観ずる)」ことが重視されることも多い。

これは「全く気にかけるな」とは全然違って、やはり一つの深い執らわれだ。(なかなか気づきづらいことだが。)

「何かを見た」とか、「光に包まれる体験した」とか「深い境地になった」とか何とかかんとか。

「それらは、本当に大事なこととは、全く関係ないことなのだ。」

私が、お釈迦さまや聖徳太子や臨済禅師などから学んだ金言も、まさにこれだ。

普通に生きていると私とか、「この教えがすごい」とか「~の境地になった」などのアレコレの中をさまよっていた。
お釈迦さまたちは、これらから完全にフリーな道を生き、そこから人と対話している。

それだけだ。これが何というすごいことか。

ちなみに、ジェイムズの文章の題名は「Gospel of Relaxation(リラックスの福音)」だが、これは本当に福音(良い知らせ)だ。
 別にキリスト教徒か仏教徒かに全く関係なく、あるいは宗教かどうかにも全く関係なく、人間が生きる上で、一番大切なこと(ベスト・マニュアル)だと思う。

 私の人生も、これを常に実行して生きていくだけだ。
(ちなみに、「身体」の姿勢も、「あれこれなしに、自分の足で背骨を立て起こす」だけで、劇的に変わります。)

2017年03月31日