非常事態でも落ち着いて行動する秘訣

【今月の一言】
 坐禅会参加者のお一人から、最近ある話を聞いて、
とても感銘を受けました。

 現在、宮城県知事をしている村井さんが話されたことです。
 村井さんは、かつて自衛隊に在籍しており、
その当時、元警視総監の土田國保さんから、
次の話を聞いたとのことです。


「君たちはいずれ、部下や家族の突然の死というものに
直面することがあるかもしれない。
また、有事の際は自分の組織が全滅することもあるかもしれない。
その時に指揮官は絶対に狼狽えてはいけない。」

と前置きした上で、土田氏ご自身の体験を話されました。

 土田氏が警視庁の警務部長をしていた当時(1971年12月)、
自宅に、お歳暮に見せかけた爆発物が届き、爆発し、
妻は即死し、息子の一人が重傷を負いました。

 土田氏は次のように語りました。


「自分がその報告を受けた時、正直、足がガタガタと震えた。
しかしここで震えたり、狼狽えたりしたら
部下がどう対応していいか分からなくなってしまう。

だから、自分はその時、
お尻の穴をクッと締め、
下腹にぎゅっと力を入れて、大きく深呼吸した。
そしてすっと立ち上がってこれから捜査をどう進めるか指示を出した。
いざという時の参考にしてほしい。」

 これを聞いていた村井氏が、その後、
宮城県知事の時に、東日本大震災に見舞われます。
 村井知事は、その際、土田氏の言葉を思い出し、実践し、
「不思議と心が落ち着いて冷静に対処できた」
とのことです。

「下腹(丹田)に気が充実する」あり方を、
不断実行するのが、「不断坐禅」であるとするならば、
土田氏や村井氏が実践したのは、まさに「不断坐禅」です。

 自分の家族がテロで殺されることや、
多くの人が亡くなり、被災する大災害は、
人生で最大の非常事態です。
 平穏な日常の中でも最も大事な何かは、
最大の非常事態の中でも最も大事なものと思います。

 普段(日常)でも、非常事態の時でも貫くような
尊い日々、貴重な生命を力強く生きる上で
最も大切なことを、「不断坐禅」として、
天正寺で行なっています。

ぜひ共に、この尊い道を歩みませんか?

【今月の一言】以上

2024年10月06日