典座の重要性とは

天正寺の宿泊坐禅会では食事係に
重きを置いている事を説明しています。

「典座(てんぞ)」というのは、禅の道場での、食事を作る係の名前です。

道元禅師は、『典座教訓』という本を書いています。

「典座」の仕事が、いかに大切かを説き、
「坐禅は、典座の仕事よりも大事」という考えは間違いだということを述べています。

実は道元さんも、当初は、「坐禅、他の雑用より大事」という考えを持っていました。

道元さんは、10代の頃から日本の道場で修行し、もっと最高の師を見つけて、そのもとで修行したいと発心し、中国にわたります。

中国に着き、港で船の中にしばらく滞在するのですが、そこで、中国の禅寺で「典座」の係をしていた、素晴らしい僧侶と、たまたま会話する機会を得ます。

その対話の中で、道元さんは、「坐禅が典座の仕事より大事だという自分が今抱いている考えは間違いではないか?」と初めて気づくようになるのです。

そのことを道元さんは、中国で如浄禅師の元で

数年間、修行する中で、さらに深く徹底して悟ったのです。

 

「ただ坐る(只管打坐)」を道元さんは強調し
それで一生を貫くわけですが、
「坐る(坐禅)」と日常(典座などの仕事)を分けた上での「坐禅」ではなく、
それを越えた道なのです。

私たちもこの道を共に志していければと思います。

2024年05月10日